「日商簿記3級は会計資格の入り口だと聞いているので、できれば短期間で合格したい」
このように考えている方も少なくないでしょう。一般的に日商簿記3級の合格のために必要な勉強時間は50-100時間ほど、だいたい1-2ヶ月ほどかかると言われていますが、人によってはもっと早い時間で合格することもあります。
そこでこのページでは、日商簿記3級に短期間(50時間以内)で合格するための勉強方法やコツについて実体験(35時間で合格)をベースにしてお伝えします。このページで消化する勉強方法を実践すれば、短期間での簿記3級合格を目指せますので、参考にしてみてください。
日商簿記3級の試験合格基準を確認する

最短で日商簿記3級に合格するためには、簿記3級という試験がどのような試験なのかを把握しておく必要があります。まずは以下の2点を確認しましょう。
日商簿記3級の合格点
日商簿記3級は、100点満点のテストで70点以上を取れば合格となる試験です。
裏を返せばすべて回答して満点を目指さなくてもOKで、3割は間違えても問題ないということです。もちろん、もっとレベルの高い試験(例えば、簿記2級や1級、公認会計士試験等)へのステップアップを考えれば簿記3級のレベルは完璧にしておきたいという思いもあるでしょうが、一旦日商簿記3級に合格するだけであれば70点を取れば合格できるのであるということを頭に入れておきましょう。
勉強中の模擬試験などで70点以上が取れるようになれば、本番でも合格できるレベルに達していると考えるようにすると、合格までの最短ルートを進むことができます。
日商簿記3級の試験範囲と問題数
日商簿記試験は3級から1級まであり、1級だと商業簿記に加えて工業簿記・原価計算や会計学(いわゆる会計の理論)なども範囲に入ってきます。
しかし、日商簿記3級の試験範囲は商業簿記のみであり、その中でも超基本的な内容である仕訳の問題や決算整理、会社の会計処理と穴埋めや語群からの選択レベルの理論問題がほんの少しだけ出るだけです。
試験時間は60分ありますが、ちゃんと勉強して理解した方にとっては時間が余ってしまう問題数しかありませんのでポイントを押さえれば合格点に達することが可能な試験であることを認識しましょう。

【コツ】日商簿記3級に短期合格するための勉強方法

さて、ここからは日商簿記3級に短期で合格するための勉強方法のコツについて紹介していきます。
各勘定科目の「ホームポジション」を理解する
簿記学習を始めて最初につまづくポイントとしてホームポジションがどちらか?だと思います。会計用語における「借方」「貸方」という単語だけでもパニックなのに、現金は左側(借方)にあると増えるのに、売上は右側(貸方)にあると増える・・・?という点で頭が???となる方も少なくないようです。
簿記3級においては勘定科目のホームポジション(仕訳のどちらにその勘定科目が記載されたら増加するか)を覚えることとこの後に説明する「仕訳」を正確に理解することが合格の最重要ポイントとなります。
勘定科目のホームポジションを理解するためには、試験のテキストの文字を追うだけでは理解が及ばない可能性がありますので、上場企業の決算書の「貸借対照表」と「損益計算書」を眺めてみることをおすすめします。
貸借対照表は、決算日時点で企業が持っている資産と負債の状況を表したもの。損益計算書は1年間の売上と売上を作るために作った経費(費用)の差分を計算して利益がどれくらい出たのかを表したものです。
この2つの書類を何社か見てみると、「貸借対照表だと左側に資産(持ってると嬉しいもの)が書かれていて、右側には負債(持ってても嬉しくないもの)が書かれているな」とか、「損益計算書だと右側に売上及び収益が書かれていて、左側には使ったお金(費用)が書かれているな」と全体像や雰囲気を掴むことができます。
ホームポジションを理解しておくことで、問題演習や本番の試験でわからない仕訳の問題が出てきたとしても回答がなんとなく思い浮かんだりするようになります。例えば、「商品を販売して売上100,000円を計上して、現金を受け取った」という仕訳の問題があったとして、「資産が増えるときは左側(借方)に書くんだったな」と把握しておくだけで、
現金 100,000 / 売上 100,000
と回答することができます。
仕訳を正確に理解する
日商簿記3級に合格するために最も重要なことは、「仕訳」です。
正直、日商簿記3級の範囲の仕訳を完璧に記載することができればほぼ合格間違いありません。仕訳を正確に行うには先述したホームポジションを理解することも必要ですが、1-2行の仕訳問題をしっかりと読んで仕訳を実行(仕訳を切る)することができれば日商簿記3級のレベルでは問題ありません。
簿記3級のテキストでは、連続した仕訳を1つの図で可能になる「T字勘定」を推奨しているものもありますが、日商簿記3級のレベルではT字勘定をシカトしても全く問題ありません。
1つ1つの仕訳をしっかりと行えるようにしましょう。
練習問題・予想問題に多く取り組む
日商簿記3級は、いわゆる会計理論の問題はほとんど登場しません。出てきても100点満点のうちの10点程度です。そのためメインで覚える内容としては、簿記の基本である仕訳と非常に簡単な決算整理になりますがこれらは計算問題となるため、テキストを長い時間眺めるよりも自分で手を動かして計算を行って答え合わせをして間違えたら復習するというのが最も覚えられるはずです。
そのため、勉強方法としてはテキストを丁寧に1周したら問題集やネットに転がっている予想問題、模試などでたくさんの問題に触れ、問題を解きながら覚えていくという方法を取っていくと短期間での合格につながります。
できるだけ短期間で勉強する
簿記3級に限った話ではありませんが、人間の記憶のメカニズムは覚えたことをすぐに忘れていくようにできています。記憶を定着させるためには、忘れる前に復習するということが最も効果的と言われています。
そのため、同じ10時間勉強するとしても1日30分を20日間行うよりも、1日2.5時間を4日間やった方が10時間終了時点で覚えている内容が多いはずです。
短期合格するためにも、試験を受ける日程に合わせてできるだけ短期で1-2週間-1ヶ月で一気に勉強することをおすすめします。
短期合格するための試験のコツ

短期合格するためには、勉強のポイントだけではなく試験中のコツもあります。1つずつ見ていきましょう。
落ち着いて仕訳をする
勉強方法のポイントでも紹介したように、簿記3級のメインの内容は商業簿記の範囲である基本的な仕訳です。仕訳がしっかりとできれば合格しますし、仕訳ができないと不合格になると言っても良い試験内容です。
そのため、仕訳を行う場合には落ち着いて仕訳をしましょう。仕訳さえ間違えなければ合格するはずだと考えて試験中は慌てないように自分をコントロールすると良いでしょう。
わからない問題は飛ばす
冒頭で紹介したように日商簿記3級は100点を取らなくても合格できます。合格点は70点なので、3割は間違えても合格するということになります。
特に短期間で合格を目指す場合は、勉強の熟練度が足りないこともあり得るため、本番の試験では「なんだっけこれ・・・」というような問題が出題されることもあります。そんな場合は、1つのわからない問題に固執するのではなく、躊躇なく飛ばして後回しにするようにしましょう。
日商簿記3級の場合には1-2問飛ばしても他の問題が正解であれば問題なく合格できます。
計算の凡ミスだけは注意
仕訳が問題なく行えていたとしても、回答する数字が違っていてば得点が取れません。簿記の問題は計算の問題がほとんどであり、足し算や割り算、桁を間違えてしまうことでの単純な凡ミスが発生しやすい試験でもあります。
そのため試験問題に記載されている数字の見間違えや電卓の計算間違えをしないように注意しましょう。
最短で合格するために必要なもの

短期で合格するために勉強開始前に揃えておくべきものなどについて紹介しておきます。これから勉強しよう!と考えている場合にはしっかりと確認してください。
テキスト
簿記3級を無料で解説してくれるサービスも増えてきましたが、一般の書店に売っているテキストを購入して勉強することをおすすめします。理由としては「お金を出してしまったことから生じる本気度」です。無料のサービスでも問題なく勉強することもできますが、お金を出してテキストを買うことで「買ってしまったのだから合格までしっかりやろう」と考えることができるので、結果的に短期的な合格につながりやすいです。
おすすめのテキストとしては2種類で、個人的もどちらでも良いかと考えています。ゆるーい絵と解説が好きな方は、パブロフシリーズを、もう少しかっちりとした内容が好きな方はイメージで攻略簿記シリーズを購入すると良いでしょう。
どちらのテキストも問題集もついているので、とりあえずこのテキスト&問題集をやり込めば合格にだいぶ近づくはずです。模擬試験のようなことをしたい場合には、ネット上でネット試験の模擬試験もいくつか無料でできるものが公開されているので、そちらを利用することをおすすめします。
電卓
電卓はなんでもいいよね・・・と考えてしまいがちですが、簿記や会計分野にどんどんとステップアップをしていくことを考えていたり、計算ミスをしにくさなどを考えると電卓は一定以上のものを使用することをおすすめします。
桁数は12桁、バックスペース機能がついている、滑り止めがついていることをポイントと考えると良いでしょう。また、ブランドについては会計の世界では「SHARP」か「CASIO」かのほぼ2択の状況になっており、ブランドによって若干操作やキー配列が異なるため、自分が操作しやすいものを選択するのもポイントです。
ちなみに、機能とコスパを鑑みた場合、SHARPでは「シャープ EL-VN83」シリーズを、CASIOでは「カシオ JF-120GT-N」シリーズをおすすめします。筆者はSHARP EL-VN83シリーズを愛用しています。
25-50時間程度のまとまった勉強時間
ここまで見てきたように、簿短期合格を目指す場合でも簿記の知識がゼロから1日1時間の勉強を1週間で・・・というのは難しいと考えられます。
筆者の体感やさまざまな方々の合格体験記から、短期合格を目指す場合にも25時間から50時間くらいの勉強時間は必要だと考えると良いでしょう。また、短期合格を目指す場合にはできるだけ詰め込んで勉強したほうが合格するという点では効率的なので、2週間程度の期間で25-50時間のまとまった勉強時間を確保すると合格への最短ルートを歩むことができるはずです。
まとめ
日商簿記3級に短期合格するためのポイント
- 試験の制度と範囲を把握する
- ホームポジションを把握しよう
- 仕訳を覚えよう
- できるだけ短期間で勉強時間を確保しよう(25-50時間)
- 問題を解くことをメインの勉強方法にしよう
- 電卓は少し良いものを購入しよう
- テキストは購入しよう
です。
このページを参考に、日商簿記3級の短期合格を目指してみてください。
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