日商簿記3級の勉強範囲はどこまで?合格に必要な知識を網羅的に解説した記事です。この記事では、試験の概要から始まり、仕訳、試算表・精算表の作成、伝票といった主要な学習範囲を分かりやすく説明します。さらに、効率的な勉強方法や過去問の使い方、独学と通学講座の比較など、試験対策についても詳しく解説。おすすめの参考書、問題集、オンライン学習サービスも紹介しているので、自分に合った学習方法を見つけることができます。この記事を読めば、日商簿記3級の試験範囲を完全に理解し、合格への最短ルートをたどることができます。
1. 日商簿記3級の試験概要

日商簿記3級の試験概要について、試験内容、試験時間と合格基準、試験日と申込方法の3つの観点から詳しく解説します。
1.1 試験内容
日商簿記3級の試験では、企業の経営活動を記録・計算・整理し、財務諸表を作成するための基本的な簿記の知識と技能が問われます。具体的には、仕訳、試算表の作成、精算表の作成、伝票処理などが出題範囲となります。出題形式は、仕訳問題、計算問題、理論問題の3種類です。理論問題では、簿記の基礎知識や用語に関する理解度が問われます。計算問題は、試算表や精算表の作成、財務諸表の数値計算などが中心となります。仕訳問題は、取引を簿記の仕訳に置き換える問題です。これらの問題は、商業簿記に焦点を当てています。工業簿記は出題範囲に含まれません。
1.2 試験時間と合格基準
試験時間は60分です。合格基準は、100点満点中70点以上です。部分点もありますので、完璧に理解していなくても、ある程度の知識があれば合格の可能性は十分にあります。試験問題は、第1問(仕訳問題)、第2問(試算表)、第3問(精算表)で構成されており、それぞれ配点が異なります。一般的に、第3問の精算表が最も配点が高く、約60点となっています。そのため、精算表を重点的に学習することが合格への近道となります。
1.3 試験日と申込方法
日商簿記3級の試験は、年3回(6月、11月、2月)実施されます。試験会場は全国各地に設けられています。受験申込は、日本商工会議所のウェブサイトから行います。インターネット申込の他に、窓口での申込も可能です。受験料は2,850円(2023年10月現在)です。申込期間は、試験日のおよそ2ヶ月前から1ヶ月前までです。具体的な日程は、日本商工会議所のウェブサイトで確認できます。また、CBT試験(Computer Based Testing)も導入されており、全国のテストセンターで随時受験することができます。CBT試験では、試験終了後すぐに合否が分かります。
試験区分 | 試験日 | 申込期間 | 合格発表日 |
---|---|---|---|
統一試験(ペーパー試験) | 6月・11月・2月 | 試験日の約2ヶ月前~1ヶ月前 | 試験日の約1ヶ月後 |
CBT試験 | 随時 | – | 試験終了直後 |
2. 日商簿記3級 勉強範囲

日商簿記3級の試験範囲は、簿記の基礎知識から応用的な内容まで幅広く網羅されています。簿記の初心者にとって、どこまで勉強すればいいのか、範囲を把握することは学習を始める上で非常に重要です。この章では、日商簿記3級の勉強範囲を詳細に解説し、効率的な学習の指針を示します。
2.1 仕訳
簿記の基本である仕訳は、日商簿記3級の中核を成す重要な範囲です。様々な取引を仕訳に正しく変換できるようになるまで、繰り返し練習することが合格への近道です。仕訳を理解することは、その後の試算表作成や精算表作成の土台となるため、特に重点的に学習しましょう。
2.1.1 資産・負債・資本の理解
資産・負債・資本は、企業の財政状態を表す基本的な要素です。これらの定義と相互関係を理解することは、仕訳を正しく行う上で不可欠です。貸借対照表(B/S)の作成にも直結する重要な概念ですので、しっかりと理解しておきましょう。
- 資産:現金、預金、売掛金、商品、建物など、企業が所有する経済的な資源
- 負債:買掛金、借入金など、企業が返済義務を負っているもの
- 資本:株主からの出資や過去の利益の蓄積など、企業の純資産
2.1.2 費用・収益の理解
費用・収益は、企業の経営成績を表す重要な要素です。これらの定義と分類を理解することは、仕訳を正しく行う上で重要です。損益計算書(P/L)の作成にも直結する重要な概念ですので、しっかりと理解しておきましょう。
- 費用:売上原価、販売費及び一般管理費など、企業が収益を得るために行った支出
- 収益:売上高、受取利息など、企業が事業活動を通じて得た収入
2.1.3 仕訳の基本ルール
仕訳は、借方(左側)と貸方(右側)に勘定科目と金額を記入することで取引を記録します。借方と貸方の合計金額は必ず一致しなければなりません。基本的なルールを理解し、様々な取引を仕訳に正しく変換できるようになりましょう。
借方 | 貸方 |
---|---|
資産の増加 | 資産の減少 |
費用の発生 | 収益の発生 |
負債の減少 | 負債の増加 |
資本の減少 | 資本の増加 |
2.2 試算表の作成
試算表は、一定期間の取引を仕訳に基づいて集計し、勘定科目ごとの残高を一覧にした表です。試算表を作成することで、仕訳の誤りを発見したり、企業の財政状態を把握することができます。日商簿記3級では、試算表の作成方法と、その分析方法についても問われます。
2.3 精算表の作成
精算表は、試算表の数字をもとに、期末の決算整理仕訳を反映させ、損益計算書と貸借対照表を作成するための表です。日商簿記3級の試験では、精算表の作成が重要な出題ポイントとなります。精算表の構造と作成手順をしっかりと理解しておきましょう。
2.3.1 損益計算書
損益計算書は、一定期間の収益と費用を集計し、企業の経営成績(利益または損失)を表す財務諸表です。精算表から損益計算書を作成する手順を理解し、各項目の意味を把握することが重要です。
2.3.2 貸借対照表
貸借対照表は、一定時点における企業の資産、負債、資本の状態を表す財務諸表です。精算表から貸借対照表を作成する手順を理解し、各項目の意味を把握することが重要です。
2.4 伝票
伝票は、取引の内容を記録するための書類です。簿記では、様々な種類の伝票が使用されます。日商簿記3級では、仕訳帳や元帳といった主要な伝票の役割と記入方法を理解することが重要です。
2.4.1 仕訳帳
仕訳帳は、発生した取引を仕訳形式で記録する帳簿です。日付、借方勘定科目、貸方勘定科目、金額などを正確に記入する必要があります。
2.4.2 元帳
元帳は、仕訳帳から転記された取引を勘定科目ごとに集計する帳簿です。各勘定科目の増減を把握し、残高を計算するために使用されます。
3. 日商簿記3級 試験対策

日商簿記3級の試験に合格するためには、効率的な勉強が不可欠です。限られた時間で最大限の効果を出すための対策を、勉強時間の目安、効率的な勉強方法、独学と通学講座の比較という3つの観点から解説します。
3.1 勉強時間の目安
日商簿記3級の勉強時間は、一般的に100~200時間と言われています。もちろん、個人の学習経験や理解度によって差があります。簿記の学習経験がある方や、数字に強い方は比較的短時間で合格できる可能性があります。逆に、初めて簿記を学ぶ方や、数字に苦手意識のある方は、より多くの時間を必要とするでしょう。1日2時間の学習時間を確保できれば、約2ヶ月~4ヶ月で合格ラインに到達できると言われています。計画的に学習を進めることが重要です。
下記の表は、学習経験別に目安となる勉強時間を示したものです。
学習経験 | 目安時間 |
---|---|
簿記の学習経験あり | 100時間~150時間 |
数字に強い | 100時間~150時間 |
簿記初心者 | 150時間~200時間 |
数字に苦手意識あり | 200時間~300時間 |
3.2 効率的な勉強方法
限られた時間を有効に使うためには、効率的な学習方法を身につけることが重要です。ここでは、過去問の活用方法と苦手分野の克服方法について解説します。
3.2.1 過去問の活用方法
過去問は、試験の出題傾向を把握し、自分の弱点を見つけるための非常に有効なツールです。単に問題を解くだけでなく、解説をよく読んで理解することが重要です。間違えた問題は、なぜ間違えたのかを分析し、同じ間違いを繰り返さないようにしましょう。過去問は、試験直前期だけでなく、学習の初期段階から活用することで、より効果的に学習を進めることができます。
3.2.2 苦手分野の克服方法
簿記3級には、仕訳、試算表、精算表など、様々な分野があります。自分の苦手分野を把握し、重点的に学習することで、効率的に合格点に近づけることができます。苦手分野を克服するためには、教科書や参考書を読み直したり、問題集で繰り返し練習したり、解説動画を視聴するなど、様々な方法があります。自分に合った方法を見つけることが重要です。
3.3 独学と通学講座の比較
日商簿記3級の学習方法は、大きく分けて独学と通学講座の2つがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分に合った学習方法を選びましょう。
独学 | 通学講座 | |
---|---|---|
メリット | 費用を抑えられる、自分のペースで学習できる、好きな時間に学習できる | 専門講師による指導を受けられる、学習仲間と交流できる、モチベーションを維持しやすい |
デメリット | モチベーション維持が難しい、疑問点を解消しにくい、学習計画を立てにくい | 費用がかかる、通学に時間が必要、スケジュールが固定される |
独学は費用を抑えられますが、モチベーションの維持が難しいというデメリットがあります。一方で、通学講座は費用がかかりますが、専門講師の指導を受けられるというメリットがあります。自分の性格や学習スタイル、そして予算などを考慮して、最適な学習方法を選びましょう。最近では、オンライン学習サービスも充実しており、費用を抑えつつ、質の高い学習ができるようになっています。自分に合った学習方法を選択し、効率的に学習を進め、合格を目指しましょう。
4. おすすめ教材

日商簿記3級の学習を効果的に進めるためには、自分に合った教材を選ぶことが重要です。学習スタイルや理解度に合わせて、参考書、問題集、オンライン学習サービスなどを活用しましょう。自分にぴったりの教材を見つけることで、学習効率を最大限に高めることができます。
4.1 参考書
簿記の基礎を学ぶための参考書は、イラストや図解が豊富で、分かりやすい解説がされているものを選びましょう。特に初めて簿記を学ぶ方は、視覚的に理解しやすい参考書を選ぶことが重要です。
4.1.1 イメージで攻略 わかる! 受かる‼ 日商簿記3級 テキスト&問題集
イラストや図解が豊富で、簿記の初心者でも理解しやすい構成になっています。各章末には練習問題もついているので、学習内容の定着に役立ちます。
4.1.2 みんなが欲しかった!簿記の教科書 日商3級
豊富な図表と丁寧な解説で、簿記の基礎をしっかりと学ぶことができます。例題も豊富に掲載されているので、実践的な学習が可能です。
4.1.3 パブロフ流でみんな合格日商簿記3級テキスト&問題集
仕訳を覚えることに特化した参考書です。反復練習で仕訳を確実にマスターしたい方におすすめです。
4.1.4 ふくしままさゆきの日商簿記3級最短合格テキスト
講義形式で書かれており、読み進めるだけで学習が進む構成になっています。簿記の全体像を掴みたい方におすすめです。
4.2 問題集
参考書で学習した内容を定着させるためには、問題集を使って実践的な練習を積み重ねることが重要です。様々な種類の問題に触れることで、応用力を養うことができます。
4.2.1 過去問完全マスター 日商簿記3級
過去問を徹底的に分析し、出題傾向を把握することができます。本試験前に実力試しをするのに最適です。
4.2.2 スピード問題集 日商簿記3級
短時間で多くの問題を解くことができるので、効率的な学習に役立ちます。時間制限のある中で問題を解く練習をすることができます。
4.2.3 日商簿記3級 合格トレーニング
頻出論点を網羅した問題集です。弱点克服に役立ちます。
4.2.4 みんなが解いてる過去問日商簿記3級
最新の過去問を収録した問題集です。試験直前の対策に最適です。
4.3 オンライン学習サービス
オンライン学習サービスは、動画講義やWebテストなど、様々な学習ツールを提供しています。自分のペースで学習を進めたい方におすすめです。
サービス名 | 特徴 |
---|---|
スタディング | 動画講義が分かりやすく、スマホやタブレットでも学習できます。 |
クレアール | 豊富な学習コンテンツと充実したサポート体制が魅力です。 |
資格の大原 | 実績豊富な資格スクールの大原が提供するオンライン講座です。 |
TAC | 質の高い講義と教材で、合格へと導きます。 |
これらの教材以外にも、自分に合った教材を見つけることが重要です。書店やインターネットで様々な教材を比較検討し、自分に最適な教材を選んで学習を進めていきましょう。
5. まとめ
この記事では、日商簿記3級の勉強範囲を仕訳、試算表・精算表の作成、伝票といった主要項目ごとに詳しく解説しました。それぞれの項目で重要なポイントを挙げ、簿記の基礎を理解しやすいように構成しています。さらに、試験対策として効率的な勉強方法や独学と通学講座の比較も紹介しました。過去問の活用や苦手分野の克服方法など、具体的な学習方法も提示しています。加えて、スッキリわかる日商簿記3級をはじめとしたおすすめ教材も紹介しているので、自分に合った教材選びの参考になるでしょう。この記事が日商簿記3級の合格を目指す皆様の学習の一助となれば幸いです。
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